
*****内容*****
6つの短編小説の連作。
主人公は
コンビニで働く青年、
認知症の始まったおばあさん、
係長になったばかりのOL、
引きこもりの青年、
オムレツ専門のコックの青年、
不思議な能力のある若い女性。
それぞれが「誰かが足りない」ことがテーマになっている。
そして、6つとも最後に10月31日午後6時に
ハライというレストランを予約することで話を終えている。
10月31日に6組の客が顔を合わせて何かが起こった
とかいったことは描かれていない。
*****感想*****
宮下奈都らしい美しい小説。
人間の心をかき混ぜると汚い灰色になりそうなのに、
静かに汚物を沈殿させて、
透き通った上澄み液だけを掬い取って
「ほら」って差し出しているような世界です。
若い頃の僕なら
「人間の一面しか描いていない」
と否定したかもしれないが、
老齢の今、この世界がとても心地いい。
人間の汚物のことは若い人たちにまかせて、
心を清らかにして
天国へと旅立ちたいと
願っているのです。